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2020/09/29 20:00

【独自取材】「すくえた命」太宰府市主婦暴行死事件(2) “失踪させられていた”兄

2019年10月、福岡県太宰府市で、佐賀県基山町の主婦・高畑瑠美さん(当時36歳)の遺体が見つかった。

瑠美さんは1カ月にわたって監禁され、バタフライナイフや割り箸で下半身を突き刺されたほか、木刀やマイクで殴られる暴行を繰り返し受けたとされ外傷性ショックで亡くなった。

福岡県警はその後、瑠美さんと同居していた山本美幸被告と岸颯被告、そしてトラック運転の田中政樹被告を逮捕。

3人は傷害致死や死体遺棄などの罪で起訴されている。

普通の主婦がなぜ、赤の他人である被告たちと同居をし、亡くなることになったのか。

取材を進めると、実は家族の中で瑠美さんよりも先に被告たちと接点を持った人物がいた。

瑠美さんの実の兄・亮太さんだ。

亮太さんは山本被告に借金をし、10年前に失踪したとみられていたが、その亮太さんと接触することができた。

そこで語られたのは、亮太さんは「失踪していた」のではなく、「失踪させられていた」という衝撃の事実だった。

取材班は広島県に向かった。

10年にわたって家族の元から失踪していた高畑瑠美さんの兄・亮太さん。

事件後、カメラの前で初めて取材に応じ、山本被告との関係について語った。

▼兄・亮太さん
「自分が(山本被告に)出会わなかったら、もしかしたら瑠美は亡くならなかったのかもしれない。自分が事件が起きたときまで働いていた広島の造船所の工場です。(山本被告に)私が世話するところに紹介するけんみたいなことを言われた」

▼兄・亮太さん
「24、25歳くらいの時に地元にあった焼き肉兼居酒屋で働いていたときに山本被告が店に来て、再会したような感じ」

▼再現
「お待たせ致しました」
「山本さんですよね?」
「亮太?覚えてる、めっちゃひさしぶりやん」

同じ中学校で亮太さんの2学年先輩だった山本被告。

学生時代は顔見知り程度だったというが、この再会を機に一緒に遊ぶようになったという。

しかし、良好な関係が一変したのはわずか1年後のことだった。

▼再現
「あんたが助けてやらんとどうするとよ?」

当時、働いていた居酒屋の同僚が山本被告に借金をすることになり、その保証人になれと迫られたのだ。

▼再現
「いや、本当に僕お金ないんで」
「保証人になるだけやろうもん」
「あいつのこと信用できんと?」

▼兄・亮太さん
「自分も逃げられなくなって、最終的に(借用書)を書かされた」

しかし、同僚は失踪。

最初は50万円ほどの借金だったはずが、さまざまな理由を付けられ、いつしか膨大な金額となった。

昼夜を問わず働かされることになった亮太さんだったが、「この男」の存在がさらなる窮地に追い込んだという。

▼再現
「失礼します」
「この人がまー兄たい」
「おまえが亮太か」

今回、共犯として逮捕された田中政樹被告だ。

▼再現
山本被告「まー兄、やくざの幹部やけんね」

▼兄・亮太さん
「2人に(別の従業員が)お客さんがいる前で、全裸にさせられたりとか、ライターの火を押し当てられたり、逃げたら周りに迷惑がかかってしまう」

直接、暴力を振るわれることはなかったというが、周りに激しい暴力を振るい、亮太さんを恐怖に陥れた。

その一方で、山本被告はこんな一面も見せた。

▼兄・亮太さん
「あんた心配せんでよかよ。私が何とかしちゃるけん。(と言われていた)“お姉さん”という感覚が強かった」

田中被告への恐怖心と、対照的な山本被告の優しさ。

アメと鞭を使い分けられた亮太さんは、いつしか山本被告に絶大な信頼を置くようになり、言われるがまま県外に住み込みで働きに出ることになった。

給料は、会社から直接山本被告の口座に振り込まれ、亮太さんは小遣い制だったという。

▼兄・亮太さん
「月に1万円かよくても3万円、少ないときは何千円とか。地獄だったと思います。生きた心地がしない。(総額で)3000万とか4000万とか、家一戸建つくらいは(山本被告に)渡している」

また、山本被告は亮太さんに対して「あるルール」を課していた。

▼兄・亮太さん
「親には一切連絡取るな、家族に一切連絡するなと」

実はこれには、亮太さんを孤立させる目的以外に、もうひとつ狙いがあったとみられる。

山本被告は次なるターゲットを妹の瑠美さん夫婦に定めていたのだ。

▼夫・裕さん
「(兄の)亮太の件で、お金ということで、600万円から700万円近くはある(山本被告に払った)」

遺族によると、山本被告は亮太さんから給料などを搾取。

その一方で家族には、亮太さんが失踪したように見せかけた。

そして今度は妹の瑠美さん夫婦からも亮太さんの借金名目で金を巻き上げ、二重取りをしていたとみられるのだ。

そのことを知らず、長い間、山本被告の指示を忠実に守り続けた亮太さん。

実は、瑠美さんが亡くなる2日前に電話で連絡を受けていたという。

▼兄・亮太さん
「山本被告から電話がかかってきて『あなたのかわいい愛しい愛しい瑠美ちゃんに代わるね』という口調だった」

▼再現
山本被告「愛しの愛しの瑠美ちゃんに代わるね」
瑠美さん「兄ちゃん?」
亮太さん「瑠美?久しぶりやねどうしたん?」
瑠美さん「わたしどうしよう、山本さんを怒らせてしまった」
山本被告「こいつ、私の言うこと全然聞かんのよ、臭いし、どうにかならんの?」

▼兄・亮太さん
「怒鳴ったような感じで言っていたので、瑠美が何も言えなくなっていた。『兄ちゃん、私、お母さんからも拒否されているし、妹や家族全員から省かれている』と」

瑠美さんからのSOSを受け取ったはずの亮太さんだったが、そのとき口にしたのはまさかの言葉だった。

▼再現
「山本さんのいうことはちゃんと聞かんといかんよ」

▼兄・亮太さん
「マインドコントロールされていたんだと思います。『そんな瑠美ですが、迷惑かけているけどすみませんがよろしくお願いします』と(山本被告に)言ったのが最後」

山本被告の支配が解けた今は、妹を救えなかった自分を責め続けているという。

▼兄・亮太さん
「やっぱり自分のせいやんと思う気持ちが強い。1番最後まで信用してくれていた妹だから余計に悔しい気持ちが強い」

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