2021/04/02 20:15
福岡県内の高齢者施設 無料PCR検査 なぜ多くが利用せず? 専門家「まずは高齢者の感染を少なく」
大阪などに全国で初めての重点措置が適用されることが決まりましたが、福岡でも感染再拡大への警戒が強まっています。
第4波の到来を防ぐためのカギとなる、PCR検査を巡る現状を取材しました。
◆菅首相
「宮城県、大阪府、兵庫県の特定の地域において、感染が急拡大している。とにかく感染拡大を阻止することが一番大事」
全国で初めて、大阪など3府県への適用が決まった「まん延防止等重点措置」。
政府は、対象地域で広がっている変異ウイルスの感染の波を封じ込めるための集中的な措置としています。
第4波の阻止に向けて「最大のカギ」となる、変異ウイルスへの対応。
専門家はー
◆北九州市立八幡病院 伊藤重彦院長
「大阪に比べると市中感染はなんとなくかつかつ抑え込んでいるところ、これは従来株でなんとかということだから、大阪のように変異株が入ってくればおそらく大阪に向かって数が増えていく」
さらに伊藤院長は、県内の病床使用率が約27%とコロナ警報の基準を上回っている点について、注意が必要だと指摘します。
◆北九州市立八幡病院 伊藤重彦院長
「福岡県の場合は、感染者の半数以上が高齢者介護施設とかクラスターの影響がまだ出ている状況。高齢者の感染者が増えれば増えるほど、ベッドをいくら確保しても追いつかなくなる。やはり高齢者の感染を少なくするということをまずは頑張る」
病床稼働率を押し上げる、高齢者施設でのクラスター。
それを防ぐため、福岡県や福岡市、北九州市などはそれぞれ2021年1月から施設の職員などが最大で月1回、無料でPCR検査を受けられる制度を設けています。
しかし、それぞれの自治体に取材したところ、対象となる施設約6800カ所に対して、無料のPCR検査を利用したのは約3700カ所にとどまっていることがわかりました。
その理由は?
◆福岡県新型コロナ対策本部 杉元功司さん
「未実施の理由について施設にうかがったところ、独自にPCRを行っている施設がある一方で、陽性者が出た場合の対応、経営面への影響を心配している声がありました」
福岡市東区の高齢者施設です。
2021年2月、職員の1人の感染が発覚し、ほかの職員とデイサービスの利用者の合わせて2人に感染が広がりました。
◆ケアリング 中尾光明社長
「アルコールやマスク、それから空気清浄機と防疫をやっていたが、この施設でもコロナ感染者が出た」
感染が発覚した翌日からすぐに施設の利用を停止。
感染は大きく広がることはありませんでしたが、できるだけ早く感染者の発生を把握することが重要だと痛感したといいます。
施設では現在、職員への定期的なPCR検査が感染防止の有効な手段と感じ、行政の制度を利用して月1回の無料PCR検査を受けています。
Q結果を見たときは?
◆ケアリング 中尾光明社長
「やっぱりゼロとは言えないので、見たときは安心します。職員全員が同じように陰性でしたと報告が来るとほっとします。PCR検査をやることによって職員および利用者それから利用者のご家族も安心しますので、ぜひこういう制度は介護事業者や医療従事者は行うべき」
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