ソフトバンク逆転Vへの好材料と誤算 離脱3カ月も復帰見えないグラシアル

2021年08月10日

 東京五輪開催に伴い中断していたプロ野球のペナントレースは13日に再開し後半戦が始まる。前半戦を勝率5割、首位オリックスと4ゲーム差の4位で終えた前年覇者のソフトバンクは本拠地ペイペイドームで最下位日本ハムとの3連戦に臨む。

 前半戦では投打に故障者が続出するなど誤算続きだったが、約1カ月の中断期間に本来の戦力がそろいつつある。千賀は長期離脱明けながら侍ジャパンに追加招集され、金メダルを獲得した五輪では中継ぎで2試合に登板。長いイニングを投げていないため、2軍戦で登板後に状態を見た上で1軍に合流する見込みだ。安定感抜群だったレイが家族の事情で退団しローテ再編が不可避だけに、前半戦不在だったエースの復活は逆転Vへ必要不可欠な条件といえる。

 中断期間に行われているエキシビジョンマッチには、野手で6月中旬に右人さし指骨折で離脱していた周東が出場。投手では右肘手術明けの甲斐野が非公式戦ながら2シーズンぶりに1軍で登板した。体に負担のかからないフォームを模索しながら2軍戦でプロ入り後の自己最速を更新する159キロを計測しており、後半戦での勝ちパターン入りを目指す。

 また、故障ではないが開幕ローテ入りしながら不振で4月に2軍落ちした高橋礼も中継ぎで登板。工藤監督は7月下旬に「今の状況ではリリーフ」と話しているが、後半戦は本人の状態とチーム事情によって先発、中継ぎの両にらみで起用されることが予想される。

 このほか野手では5月に不振で2軍落ちした後、キューバ代表として出場した五輪予選で負傷したデスパイネもエキシビジョンマッチに出場。同じキューバ人で旧知の仲である新外国人のアルバレスと外野、DHのポジションを競いながら、大砲復活なるかが注目される。左太もも裏痛の再発で7月1日に離脱した牧原大も既に2軍戦で出場しており、後半戦で戦力となるべく準備を進めている。

 一方で、いまなお実戦に復帰できていないのは5月末に利き腕と反対の左肘の手術を受けた守護神森と、5月上旬に右手指の骨折などで離脱したグラシアルだ。斉藤リハビリ担当コーチによると森はすでにプルペンでの投球練習を再開しており、1軍で後半戦がスタートする今週末に打者が立った状態で投げる予定という。早ければ20日からのう2軍阪神3連戦(タマスタ筑後)で約4カ月ぶりに実戦マウンドに上がる見込みだ。

 グラシアルは既にティー打撃は再開しているものの、患部が固まっているため実戦復帰のめどが立たない状況。斉藤コーチは「もう少し時間がかかる」としている。離脱時の球団発表では「3週間の患部固定」だったが想定より大幅に離脱期間が長くなっているといわざるを得ず、4番を務めていた右の大砲を欠いたまま逆転優勝を目指す後半戦に向かうことになった。

 (取材=米多祐樹)

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