2022/06/22 19:30
「うちの娘も生きていたら…」 飲酒事故で娘失った遺族 500回以上の講演活動で命の尊さ訴え 福岡県
6月に入り逮捕者が相次ぐ、飲酒運転。
飲酒運転の事故で娘を亡くした男性は、改めて飲酒運転撲滅を訴えています。
福岡県糸島市で暮らす、大庭茂彌さん(75)。
23年前、飲酒運転による事故で、大学生だった次女・三弥子さん(当時21)を亡くしました。
◆大庭茂彌さん
「副署長から迎えられて『じつは娘さんが亡くなっておられます』と言われてガクッときて。なんでうちの娘たちが、飲酒運転の車にぶつけられなきゃいけないのかという憤りはあった」
事故当時、鳥取大学3年生だった三弥子さん。
友人3人をマイカーに乗せ、旅行を楽しんだ帰りに飲酒運転による事故に巻き込まれ、友人2人とともに命を落としました。
◆大庭茂彌さん
「三弥子の同級生で子供とかがいるのを見ると、うちの三弥子も生きてたらこうなってたかなと思う」
3人の命を奪った対向車を運転していた男は、女性から交際を断られた憂さ晴らしで酒を飲んでいたといいます。
◆大庭茂彌さん
「これが事故の写真。こういう風にグシャっといって。恨んでも恨んでも恨みきれないような気持ちはあった。もう少し大きい車だったら、こんなふうになってなかったかもしれない』と(思った)」
自分と同じ思いをする人をなくしたい。
大庭さんは事故から2年後、命の大切さを訴える活動を始めました。
高校での講演―
◆大庭茂彌さん
「安置室に行って娘の遺体と対面したんです。その時に、私たちも何で娘をこんな所にやったんかいなぁって色々複雑な思いで娘と対面しました。被害者になってからですね、色んな思いで、ああしとけば良かった!こうしとけば良かった!そういう風になるんです。命は大切なんです」
将来ハンドルを握ることになる子供たちに命の尊さを訴えることが、飲酒運転の撲滅につながる。
そう信じて、これまで延べ500回以上、講演活動を続けてきました。
そうした大庭さんの思いとは裏腹に、一向に無くならない飲酒運転。
県内では6月に入り、飲酒運転の検挙者が急増。
22日も大川市で、酒を飲み車を運転したとして、自称・ゲームセンター経営者の男が逮捕されるなど、あわせて44人が逮捕されています。
こうした現状に大庭さんは、ドライバーに改めて立ち止まり、考えて欲しいと話します。
◆大庭茂彌さん
「一番は飲む機会が多くなったことと気の緩みだと思う。みんなが『自分は大丈夫』という意識があるんじゃないか」
大場さんは、コロナ禍で講演会などが制限されている中でも、飲酒運転撲滅を訴えるため、ヒマワリを育てる活動を続けています。
ヒマワリは、2006年に海の中道大橋で起きた飲酒運転事故で亡くなった3人の幼い子供たちが好きだったという花。
飲酒運転事故の被害者や遺族たちと始めたこの活動は今年も行われ、今、100本以上のヒマワリが花を咲かせています。
◆大庭茂彌さん
「三弥子の死を無駄にしないために何ができるか、どうしたらいいかを考えながら活動することが大事なこと」
飲酒運転がない世の中を願う大庭さんの活動は、きょうも続いています。
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