2022/06/23 20:00
小麦高騰で「コメ」に注目! 家計を救う米粉 天ぷらの衣や麺にも 福岡県
ウクライナ情勢などで小麦価格が高騰する中、日本の主食を支える米への注目がいま、高まっています。
相次ぐ食品の値上げで負担が増している私たちの家計の、強い味方となるのでしょうか?
カラっと黄金色に揚がった天ぷら。
こちらは、福岡市早良区にある天ぷら専門店です。
◆米粉てんぷら工房 天 泉川駿助店長
「お待たせしました。こちら「贅沢天定食」です」
◆記者
「ありがとうございます。ボリューム満点ですね。美味しそう」
この店の天ぷらは、ほかの店とはひと味違います。
その違いは、食べたときの音にあらわれているんです。
◆記者
「サクサクを超えて、ザクザクですね。衣のザクザク感とエビの食感、バッチリですね」
『サクサク』を超えた『ザクザク』食感。
その秘密は…
◆記者
「こちらのお店のこだわりは?」
◆米粉てんぷら工房 天 泉川駿助店長
「うちは小麦ではなく、米粉で天ぷらを揚げているところですね」
この店では、天ぷらの衣に小麦粉ではなく、お米からつくられた『米粉』を使用。
米粉は小麦粉よりも油の吸収率が低く、さっぱりとしてヘルシーだといいます。
◆記者
「味わいもちょっと違いますね」
◆米粉てんぷら工房 天 泉川駿助店長
「そうですね、米粉の甘みも少しあるのかなと思います。油落ちもいいので胃もたれせず、すごく消化がよくて、女性にも人気がある」
そして、ほかにも人気の理由が…
◆米粉てんぷら工房 天 泉川駿助店長
「欧米では流行っているみたいだが、グルテンフリー。ダイエットで腸をきれいにしてくれるので、美容効果にもすごく役立っている。最近は(小麦)アレルギーの方もお客さんで増えてきた」
実はいま、小麦粉の代わりに、この「米粉」に注目が集まっています。
5月、福岡県の服部知事が発表したのが…
◆福岡県 服部知事
「ウクライナ情勢や円安によって、小麦の値段が非常に上がっている。米粉の利用を拡大しようじゃないかと。この米粉の利用を拡大していくために、県内の食品事業者に、色々な商品・製品をつくってもらわなければいけない」
ウクライナ情勢などで小麦価格が高騰する中、福岡県は小麦粉の代わりとして『米粉』を使った食品の開発支援に乗り出すと発表。
その背景には、日本は小麦の9割を輸入に頼っている一方、米の自給率はほぼ100%で価格も安定していることがあります。
農林水産省によりますと、年々、米粉の需要は右肩上がりの傾向が続いていて、今年は小麦が高騰し、需要が急増。
4.3万トンにも及ぶ見通しです。
米粉ブームの到来!
この動きを歓迎しているのが、福津市のコメの生産者です。
◆記者
「福津市にきました。まさにいま田植えのシーズンということで、植えられたばかりの稲が田んぼにずらーっと並んでいます」
出会ったのは、コメ生産者の桑野さん。
桑野さんが育てた米で作っているのが…
◆桑野由美さん
「これが、我が家で販売している米粉です」
桑野さんは、およそ10年前から市場に出せない規格外のコメを活用し、米粉の製造を始めました。
◆記者
「無駄にならなくていいですね」
◆桑野由美さん
「せっかく同じように手をかけて育てたお米なので、できるだけ全部使い切りたいというところがあって、米粉を作るようになりました」
ただ、米粉が普及するには課題も…
◆記者
「コスト面でいうと、小麦粉と米粉はどちらが高い?」
◆桑野由美さん
「正直言って、米粉の方がまだ高いと思います」
米粉は製造コストが高く、製品価格は小麦粉の1.2倍~3倍程度となっています。
しかし、原料価格は小麦粉の高騰で、去年、価格が逆転。
今後さらに小麦が値上がりするとの見方もあり、製品価格の差は縮小すると見られています。
この生産者が作る米粉も最近、問い合わせが増えてきたといいます。
◆桑野由美さん
「右肩上がりではないんですけど徐々に上がってきていると思います。小麦粉の代わりにとまではいかないんですけど、たくさんの人に米粉を食べて頂いてお米の消費拡大に協力して頂けたら」
米粉ブームを歓迎する生産者。
そのウラには、日本の米を巡る深刻な問題がー
日本では、近年、パンやパスタなど食の多様化が進み、『コメ離れ』が加速しています。
そのため、毎年、『コメ余り』が起きて売値が安くなるという事態も起こっています。
そんな状況での『米粉』ブームの到来、生産者はコメの消費拡大につながることを期待しています。
こうした中、米粉を使ったメニューに力を入れる店が、遠賀町にあります。
店内で作られていたのは、白くて細ながーーい麺。
これは米粉で作られた麺、その名も『べいめん』です。
◆記者
「作られたきっかけは?」
◆糀 こめのはな 金田淳二代表
「日本のお米が食べられなくなってきた、田んぼが少なくなっている現状で、これはいかんぞということで、もっとお米を食べてもらいたい」
遠賀町は、古くからコメづくりが盛んな地域。
その消費が少なくなってきたことを憂いた店主は、12年前から地元産の米を使用した米粉麺の開発を開始しました。
『毎日食べても飽きない麺』を…
試行錯誤を繰り返して去年、完成したのが、『べいめん』です。
◆記者
「いただきます。初めての食感です。しっかり歯ごたえがあるけど、歯切れもよくてつるっと食べられて、しっかり麺からお米の甘みが感じられますね。毎日食べたくなる麺ですね」
◆糀 こめのはな 金田淳二代表
「日本のお米の特徴をいかに出すかというところで、炊きたてのご飯の味がする麺を作りたいと思って、きょうまで一生懸命やってきました」
物価高が続く中で今、熱い視線が注がれている「米粉」。
コメの生産者、そして私たちの家計を救う、救世主となるのでしょうか。
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