五輪決勝で好投したソフトバンクの勝ち頭 研究熱心なマルティネスが見た選手村での「貴重な経験」

2021年08月11日

 東京五輪の野球に米国代表として出場したソフトバンクのニック・マルティネス投手(31)が11日、チームに合流した。

 五輪で米国は準々決勝、決勝の2度、日本と対戦し、いずれも黒星。マルティネスは決勝で先発して6回1失点と好投したが、味方打線が抑えられ金メダルには届かなかった。チームメートの柳田、甲斐とは計4度対戦して被安打なし。特に0-1の4回は1死満塁のピンチで柳田を三ゴロに抑えるなど、シーズン中と同様の粘りで追加点を許さなかった。

 マルティネスは「最初の日本戦で負けた後、次に日本と対戦することがあれば必ず自分が投げたいと強く思っていた。決勝進出が決まり、投げる順番からして僕(が先発)だと。緊張して、プレッシャーから武者震いもあったが、ゲームが始まったら一球一球、一瞬一瞬を楽しむんだという気持ちで投げた」と穏やかな口調で振り返った。

 日本ハムから移籍して1年目。新天地デビューする前、ファームで調整していた時からベテラン捕手の高谷を質問攻めにするなどレベルアップに余念がないマルティネスは、五輪での経験を振り返る際にも研究熱心さの一端をうかがわせた。

 「世界各国からいろんな競技の人が来ていた。自分はビレッジ(選手村)に滞在していたが、いろんな国の人がどういう調整をしたり、どういう食事をしたりするか、そういうのを見るだけでも貴重な経験になった。野球でいえばアウト一つひとつに意味がある、そういう緊張感の中で国を代表して戦えたことや、ホークスのチームメートと対戦できたのは本当に素晴らしい経験になった」

 工藤監督には「お疲れさま。銀メダルおめでとう」と声を掛けられたが、心中はやや複雑だ。「チームに(日本の)金メダルと(米国の)銀メダルを持ってこられて良かったが、できれば自分が金メダルを持って帰ってきたかったです」と冗談めかしながら笑った。

 7日の決勝では91球を投げた。その後の表彰式、福岡への移動などによる体の負担はあったが、既に気持ちは13日に始まるシーズン後半戦へ向いている。調整期間を設けることなく最初からローテに入る見通しで、現在チームトップの7勝を挙げている右腕の安定感が逆転Vへの大きな力となりそうだ。

 「日本はいいチーム、素晴らしいチームで、金メダルにふさわしいチーム。自分の人生の中で、子供たち、孫たちにも語り継いでいきたい貴重な時間になった。1勝に懸ける思いをホークスにつないでいきたいし、全力で臨めるように準備していきたい」

 31歳の誕生日から2日後に臨んだ五輪決勝で好投しながらも敗戦投手。頂点に立てなかった悔しさと選手村やグラウンドで培った経験が、研究熱心な右腕をさらなる高みへ押し上げることになりそうだ。

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