5歳児餓死裁判 子供の食事を減らしたのは“ママ友”の計画か マインドコントロールは 福岡地裁

2022年06月11日

2020年、福岡県篠栗町で当時5歳だった男の子が餓死した事件の裁判員裁判は、6月10日、母親の心理鑑定を担当した大学教授が弁護側の証人として出廷し、“ママ友”によるマインドコントロールについて話しました。

起訴状によりますと、篠栗町の無職・碇利恵被告(40)は2020年4月、知人の赤堀恵美子被告(49)と共謀し、当時5歳の三男・翔士郎ちゃんに十分な食事を与えず餓死させた保護責任者遺棄致死の罪に問われています。

いわゆるママ友だった赤堀被告は、“碇被告の夫が浮気をしている”などの嘘を言い、“ボス”と呼ばれる架空の人物を利用するなどして碇被告を支配していたとされています。

検察側の冒頭陳述などによると、赤堀被告は「質素な生活をしないと、離婚した夫との慰謝料の裁判に勝てない」「食べ過ぎたらいけない」などと碇被告を言いくるめ、食生活までも支配。

赤堀被告が提供する食料だけで碇被告と子供たちが生活するようにルールを定めたといいます。

10日は碇被告の心理鑑定を担当した立正大学・心理学部の西田公昭教授が弁護側の証人として出廷しました。

西田教授は、赤堀被告は碇被告に対し、“出会ってから1年目は親しかった人と距離を取らせ、2年目は訴訟の恐怖とお金の要求、3年以上かけて心を完全に支配していった”、“徐々にこうした状況になったため碇被告も支配されていると気づかなかった”などと説明しました。

このあと、検察側、碇被告の弁護側、裁判員、それぞれからの質問に対し、西田教授は以下のように答えました。

<検察側からの質問>
◆検察側
「碇被告が赤堀被告を信じた理由は?」
◆西田教授
「赤堀への絶対的な信頼」

◆検察側
「どの時期に?」
◆西田教授
「信頼は出会ってから徐々に深まっていく」

※碇被告のスマートフォンに残されたメモの一部(2020年)
3月22日「今日も叩かれたね、しょー(翔)」「人間否定するばかりだ」
4月4日「あーほんと鬱陶しい」「私もむかつくけど、一方的に言われるけん何も言えん」
4月5日「毎日毎日支配されているみたいで何でも言いなり」
4月10日「今日もうちに来て説教、二重人格って言うけど自分も二重人格やんか」

◆検察側
「スマホへのメモにある赤堀被告への批判は、信頼から矛盾する?」
◆西田教授
「しない。誰にも言えない愚痴みたいなもの。かなり理不尽なことを言われて感情的になっただけで、相手に伝えるわけではないから」

◆検察側
「赤堀被告は計画的に支配に及んでいったのか?」
◆西田教授
「年月が4年もかかっているし、ゆっくりとしていると気づきにくい」

◆検察側
「赤堀被告が心理的支配をした目的は?」
◆西田教授
「お金が一番大きいだろう。だから友人(碇被告)を陥れたのか、嫉妬だろうと思う」

◆検察側
「支配欲は?」
◆西田教授
「崇拝されたい、自己肯定感を高めたいという心理が働いたこともある。複合的に働いたと考えられる」

<弁護側からの質問>
翔士郎ちゃんが亡くなる当日(2020年4月18日)の状況について-。

◆弁護側
「亡くなる日、碇被告は『見ることしかできなかった』と言っているが?」
◆西田教授
「まさにマインドコントロールされていて、思考停止していた証。何より大事なのはボスの意志と赤堀被告の歓心を買うこと。それ以上は思考できない状態だった」

◆弁護側
「(赤堀被告への)反抗心はありながら、マインドコントロールされていた?」
◆西田教授
「心の中では反抗、嫌だ、という感情が残っているが、赤堀被告には全く言えない。誰にも言えないから辛い気持ちをメモに書き留めていたと言える」

<裁判員からの質問>
◆裁判員の男性
「子供の食事を減らしたのは、赤堀被告の計画だったのか?先生の考えは」
◆西田教授
「マインドコントロールで子供の食事を奪うのは意味がない。動機に碇被告の苦しむ姿を見たい、というのがあったかもしれない。質素な生活を理屈に、盾にしていたので、理にかなった行動だ」

碇被告の裁判は6月14日以降も行われ、判決は17日に言い渡される予定です。

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