5歳児餓死 懲役5年の量刑はどう判断された? そのとき、被告の母親は 福岡地裁から記者が報告

2022年06月17日

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おととし福岡県篠栗町で当時5歳だった男の子が餓死した事件で17日福岡地裁で被告の母親の判決公判が開かれ、懲役5年が言い渡されました。

<この事件は>
17日判決を受けたのは、篠栗町の無職、碇利恵被告(40)です。

碇被告は2020年4月、知人の赤堀恵美子被告(49)と共謀し、当時5歳だった翔士郎ちゃんに十分な食事を与えず、餓死させた保護責任者遺棄致死の罪に問われていました。

これまでの裁判で浮かび上がったのは、2人の異常な支配関係でした。

事件発生の4年前、子供同士が通う幼稚園で1人孤独そうに見えた赤堀被告に碇被告が声を掛けたことでママ友としての関係が始まりました。

すると、やがて-

「ママ友が悪口を言っている」「旦那が浮気している」

碇被告はこのように赤堀被告からうそを吹き込まれ、夫と離婚。

周囲から孤立すればするほどに、頼れる赤堀被告への依存度を強めていったといいます。

また、ボスという架空の人物の話を持ち出してトラブルの解決費を求められることも。

生活保護費、児童手当、貯蓄などこれまでに1300万円以上を赤堀被告からだまし取られ碇被告は生活が困窮していったと弁護側は述べました。

6日に行われた被告人質問では、その壮絶な支配の一端が語られました。

<6・7日の被告人質問より>
「食べ物もなく電気もガスも止められました」
「トイレットペーパーの代わりに新聞紙を使う」
「シャンプーや石鹸もなく、車のウォッシャー液を薄めて使う」
「食事も赤堀被告が持ってくる物のみ」

赤堀被告は碇被告家族の食事の量までも管理。

言いつけを守らなかった翔士郎ちゃんに、2週間以上食事を与えないこともあったといいます。

<9日の被告人質問より>
◆裁判官「絶食は長くてどれくらい?」
◆碇「15日くらいだったと思う。クッキー1枚を食べちゃったことはあった。赤堀被告が『お前は食べたけんプラス3日ね』などで15日に延びた」

翔士郎ちゃんが亡くなった時の体重は5歳児の平均の半分ほどの10・2キロ。

胃の中に食べ物はほとんど残っていませんでした。

10日には、碇被告家族を支配していたとされる赤堀恵美子被告が出廷。

しかし、碇被告との関係性や翔士郎ちゃんが死亡したことについて問われても―

「答えません」

こう証言を拒否しました。

ママ友からの支配については、争いがない今回の刑事裁判。

焦点になっているのは量刑=つまり刑の重さについてです。

検察側はこれまでの裁判で、「支配されていたとしても量刑を減ずる事情はなく子供を守る行動を放棄した」などとして懲役10年を求刑。

一方、弁護側は「碇被告は赤堀被告に心理的支配を受け行動選択の幅が狭まった」と主張し執行猶予付きの判決を求めていました。

懲役5年の判決、量刑はどう判断されたのか、裁判所から日高朋美記者が伝えます。

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