5歳児餓死 ママ友・赤堀被告に懲役15年判決 「生活全般を実質的に支配」 福岡地裁

2022年09月21日


 2020年に福岡県篠栗町で当時5歳の男の子が十分な食事を与えられずに餓死した事件をめぐり、男の子の母親の“ママ友”で、保護責任者遺棄致死罪などに問われている赤堀恵美子(あかほり・えみこ)被告(49)に対し、福岡地裁は21日、検察側の求刑通り懲役15年の判決を言い渡しました。

【どんな罪に問われたか】

 起訴状などによりますと、篠栗町の無職・赤堀被告は、お互いの子供を通じて親しくなったママ友の碇利恵(いかり・りえ)被告(40)と共謀し、2020年4月、碇被告の三男・翔士郎(しょうじろう)ちゃん(当時5)に十分な食事を与えず餓死させた罪に問われていました。さらに赤堀被告は「夫が浮気をしている」などと碇被告に様々な嘘を吹き込み、浮気の調査費などとして約200万円をだまし取るなどした罪にも問われていました。

【碇被告の一審判決 “赤堀被告による支配を認定”】

 裁判の争点は、赤堀被告による碇被告の支配があったかどうかでした。

 今年6月の一審で、碇被告は保護責任者遺棄致死の罪を認め、弁護側は赤堀被告からのマインドコントロールの影響を受けていた、と主張。また碇被告側は“経済的に困窮した碇被告の家庭は赤堀被告に食事までも管理されるようになった”、“翔士郎ちゃんは、亡くなる間際には、あわせて2週間以上も食事を与えられなかった”などと述べました。

6月17日、福岡地裁は「数々の嘘によって経済的に搾取され、心理的に支配され、生活全般を支配された被害者としての側面があり、これが犯行に及んだ主な要因となった」と赤堀被告による支配を認定した上で、碇被告に懲役10年の求刑に対し懲役5年の判決を言い渡しました(その後、碇被告は判決を不服として控訴)。


【赤堀被告は無罪を主張】

 8月29日から開かれた赤堀被告の裁判で、ママ友同士の主張は真っ向から対立しました。

 初公判で赤堀被告は起訴内容を全面否認し無罪を主張。9月8日の最終弁論でも「金を騙し取ったと言うことはありません。生活が苦しいと言われていたので、一生懸命助けていたつもりです。全て母親の責任だと思います」と述べました。

 検察側は「赤堀被告の支配がなければ碇被告が保護責任者遺棄致死の犯罪を犯すことはなかった。金銭欲や支配欲を満たすための自己中心的な行為で酌量の余地はない」などとして、赤堀被告に懲役15年を求刑しました。

 一方、弁護側は「母親の碇被告には嘘をつく動機がある」「碇被告の証言は不合理」などと主張し、改めて無罪判決を求めました。


【碇被告の判決に「えっ?今、初めて聞いた」】

その後、判決を前に赤堀被告は福岡拘置所でTNC記者の接見に応じ、6月の碇被告への一審判決で赤堀被告による支配が認定されていることを“知らなかった”と語りました。

◆赤堀被告(福岡拘置所、記者の質問に対し)
Q.「碇被告の裁判では赤堀被告の支配が認められていて、(判決は)求刑に対して半分の懲役5年だった。これについてどう思う?」
A.「えっ?そうなんですか?今、初めて聞いた」
Q.「知らなかった?」
A.「はい」
Q.「弁護士からも聞いてない?」
A.「はい。碇の裁判を聞いてないので分からないが、私の支配が認められたと初めて聞いた」
Q.「びっくりした?」
A.「碇の証言が認められたんだなと思う。なんとも言えない」


【福岡地裁の判断は】

21日午後3時から開かれた判決公判で、福岡地裁の冨田敦史裁判長は「碇被告に対し、様々な虚言を重ねて、その人間関係を断ち、周囲から孤立させ、被告人の強い心理的影響下に置いて、その生活全般を実質的に支配した」と、碇被告が主張した赤堀被告の支配を全面的に認定しました。

そして「悪質な手口で指示したのは他ならぬ被告人である。否認しているので動機は判然としないが、少なくとも金銭欲は明らかであり、騙し取るためだけでは説明できないほど繰り返したことには、碇被告の家庭への悪意が背景にあったこともうかがえる。被告人はその欲望のままに本件犯行に及んだものといえ、酌量の余地は全くない」などとして、赤堀被告に対し、求刑通り懲役15年の判決を言い渡しました。

NEWS
ニュース

ニュース記事一覧をみる

SPORTS
スポーツ

スポーツ記事一覧をみる

GOURMET
グルメ

グルメ記事一覧をみる

GO OUT
おでかけ

おでかけ記事一覧をみる

LIFE
生活情報

生活情報記事一覧をみる

ENTERTAINMENT
エンタメ

エンタメ記事一覧をみる

FEATURE
特集

特集記事一覧をみる

ECONOMY
地域経済

地域経済記事一覧をみる