土の味わいが素朴な表情を生み出す『唐津焼』は来年で430周年を迎える。唐津で最も古い窯元・中里家の当主。
中里家は当主によって、作風に違いがある。十一代は陶器の彫刻「陶彫」が得意。十二代は「叩き」の技法を復活させ人間国宝。匠の父・十三代は絵を生かしたモダンな表現を展開。そして十四代は?
中里家に代々伝わる「叩き」という技法を見せていただく。叩く事で粘土が締まり強度が増す。薄くて軽い丈夫な作品が生まれるのだ。匠はその他「搔落し」など様々な技法を駆使して焼き物を作る。
中学、高校では美術部。美大に進学し彫刻を学んだ匠は、唐津に戻ってから本格的な『唐津焼』ではなく、オブジェ的作品しか作らなかった。しかし、ある時を境に『唐津焼』を極め出す。
佐賀県唐津市にある「中里太郎右衛門陶房」を訪ね、匠の作品を見せていただく。土、釉薬、そして技法にこだわった作品の数々は、匠の挑戦の証。十四代の茶盌でいただくお茶は格別な味だ。
優れた技術を持つ九州各地の匠たちを紹介している「匠の蔵」。8月の匠は、佐賀県唐津市の十四代 中里太郎右衛門さん。中里家に代々伝わる技法に加え、新たな挑戦を続け『唐津焼』を作り続ける匠の“志と技”、ぜひご覧ください!