福岡・鹿児島3児死亡 父親に無期懲役判決 「罪のない子供ら巻き込み同情の余地なし」 福岡地裁

2022年10月11日


去年2月、福岡県飯塚市と鹿児島市で子供3人の遺体が見つかり、殺人や傷害致死などの罪に問われている父親に対し、福岡地裁は検察側の求刑通り無期懲役の判決を言い渡しました。

判決を受けたのは、住所不定の無職・田中涼二被告(43)です。

起訴状によりますと、田中被告は去年2月、鹿児島市内のホテルで長男の蓮翔(れんと)君(当時3)と長女の姫奈(ひな)ちゃん(当時2)の首を絞めるなどして殺害したほか、去年1月以降、福岡県飯塚市の当時の自宅で養子の大翔(ひろと)君(当時9)に暴行を繰り返し、死亡させた罪などに問われていました。

これまでの裁判で、田中被告は実子2人の殺害は認めていますが、養子の大翔くんに対する傷害致死などについては「大翔にケガをさせたことは間違いありませんが、私の暴行で大翔が死んだかは分かりません」などと否認していました。

9月30日に福岡地裁で開かれた論告求刑公判で、検察側は“3人の子供の親権を引き取り1人で育てる育児ストレスを考慮しても動機は身勝手で情状の酌量の余地がない”とし、養子・大翔君への傷害致死について「長期間に渡って衰弱するのを目の当たりにしながら虐待した極めて悪質な対応」と指摘して、田中被告に無期懲役を求刑しました。

一方、弁護側は、大翔君の死因について「肺炎による死亡の可能性を否定できない」「田中被告は知的能力が低く、子育てで抱えたストレスは相当のもので、酌量の余地はある」などとして懲役18年を求めました。

11日に開かれた判決公判で、福岡地裁の武林仁美裁判長は、大翔君の死亡について「“肺炎も影響したと考えられるが死因と考えられるほどではない”とした医師の説明は信用できる。大翔君の死因は外傷性ショックと認められ、田中被告の暴行と因果関係がある」と傷害致死罪を認定。

さらに「幼い子供3人の生命を奪ったという結果は極めて重大。短い生涯を終えざるを得ず将来を奪われた被害者らの無念も計り知れない」「離婚して1人で養育することになり、育児ストレスが溜まる中、怒りを覚えたのは理解できなくはないが、児童相談所に預けてストレスを軽減することもできた」「被告人が養子に対して暴行に及んだ動機は身勝手というほかなく、酌むべき余地は乏しい」「養子の死亡が捜査機関などに露見することにより実子2人と離れ離れになりたくないと考えて無理心中を図った。被告人の身勝手な願望に何ら罪のない実子らを巻き込んだもので同情の余地はない」などとして、田中被告に対し検察側の求刑通り無期懲役の判決を言い渡しました。

このあと裁判長は田中被告に、こう語りかけました。

◆裁判長(説諭)
「生涯をかけて、愛する子供の命を奪った自分自身の罪から目をそらさず、向き合い続けてください」

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