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TNC NEWS
2024/09/01(日) 05:30 〜 放送済み
「砂漠から始まる冒険記」
加藤英明(静岡大学教育学部准教授)
いままで50か国、100地域以上で生き物の調査をしてきました。なかでも特に心に残っているのが「中央アジア」です。何度も出かけとても思い出深い場所で、研究者になりたいと志を強く持った地でもあります。多くは、砂漠だったり山岳地帯だったり荒れ地が広がっている、そんな地域です。
私は「ロシアリクガメ」というカメを探しに、エサとなる草の生える水辺がある場所を求め「アラル海」へ向かいました。アラル海はとても大きく、琵琶湖の100倍ほどありました。水が豊富でチョウザメやオオナマズなどいろんな生き物が暮らし、漁業が盛んでした。そこに近づくことはできたのですが、すでに湖ではありませんでした。農業用に水が必要になり、アラル海にそそぐ川から大量の水を取ってしまったため、流入量が減り、蒸発して水が干上がってしまったのです。まだ湖は少しだけ残っていますが、塩分濃度が高くて生き物は住めない状態です。わずか50年で世界4位の大きさの湖がほぼ消えてしまったというのは衝撃です。人間が大きく環境を変えてしまっている現状を目の当たりにして残念に感じ、アラル海に水を戻したいと思いました。私たちが持つ大きな力を、生き物や環境を守る方向に使っていければと強く感じて研究者を目指し、そして保全生物学を学び生き物を守っていこうと思った私の原点の場所です。
いま残っている環境を、未来に残していきたいと思います。
講師/加藤英明(静岡大学教育学部准教授)
司会/北村花絵(テレビ静岡アナウンサー)
手話通訳/石川ありす
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