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番組審議会から(第627回)

第627回番組審議会

議題 『九州沖縄の今が見える テッテイ取材2020』
2020年12月19日(土)16時00分~17時25分放送
出席委員 藤 井 克 已 委員長
石 村 一 枝 委員
舘   賢 治 委員
田 中   徹 委員
中 村 ク ミ 委員
欠席委員 進 藤 卓 也 副委員長(レポート)
喜多村 浩 司 委員(レポート)
森   亨 弘 委員(レポート)
林 田   歩 委員(レポート)

 今年で17回目を迎えるFNN九州沖縄年末特番では、新型コロナウイルスによって生活が一変した2020年を振り返りながらその変化を取り上げるとともに、「コロナ禍」の陰に隠れた本来ならもっと大きく社会的に取り上げられるべきニュースを伝えることを2つの大きな柱としました。
 新型コロナによる変化の部分では、九州での展開を続ける星野リゾートを通して観光業界の変化を紹介したほか、新型コロナによるテレワークの広がりを受けて移住促進を目指す自治体を紹介。
 陰に隠れた問題として、7月豪雨による熊本・川辺川ダム問題を発端に治水への考え方を取り上げたほか、沖縄・辺野古の基地移設工事に関わる計画変更提出と、まさに九州が抱え続けている問題をピックアップしました。
 昨年に引き続きフジテレビの伊藤利尋アナウンサーをメインMCに、コメンテーターには福岡市出身の政治ジャーナリスト鈴木哲夫さん、国際政治学者の三浦瑠麗さんと豪華出演陣をスタジオにそろえ、VTRとスタジオ解説を使い分けながら視聴者にわかりやすく自分事として考えるきっかけ作りとなる番組を目指しました。

委員からは

  • 課題解決に向けていろんな前向きな取り組みを紹介したり、大きなボード、フリップを使って解説、独自取材を交えるといったことで、視聴者に内容を伝えるということではよく工夫をされていた。
  • 今後の展望を想起させるような内容になっていて、この点は昨年よりもさらに良くなったと思いました。
  • 昨年から今年にかけてコロナというのが毎日のように報じられて、それに隠れたニュースにスポットを当てるというコンセプトはすごく素晴らしいなと思いました。
  • 昨年7月豪雨の人吉・球磨の治水についてのボードを使った解説というのは、技術的なものとかが視覚的に分かりやすくて非常に良かったと思います。また、昨年に引き続いて九大の島谷先生に解説していただいて、視覚的な分かりやすさと、それをフォローしていただけるということで、ここは非常に面白くというか、理解が深まったと思います。
  • 新型コロナウイルスによって生活が一変した2020年を振り返るとともに、本来もっと取り上げられるべきニュースを伝えることを柱とした年末特番で、非常によく考えられた番組だと思いました。
  • 「考えるきっかけ作り」となるように、「大変なことが起きた一年」で終わらず、「今は行けないけれど、飲食店にボトルを入れる」、「田んぼダム」など、問題解決の一提案をしたことは素晴らしかったと思います。
  • 社員に最近、コロナぼけじゃないかとずっと言っていますが、2020年、コロナ禍で自分がどのように過ごしたかと思うと恥ずかしい気持ちでいっぱいになりました。そういうことに気づかせてくれたのもすごくありがたい番組だったと思います。
  • 「前向きな気持ちで2021年を迎えてもらえる」という趣旨と「一緒に学ぶ」ということは、この番組で本当に叶えられたのではないかと思います。
  • 福くんのコメントでは物足りないなと。でも、「"知る"ということが大事」という単純な言葉は、彼と同年代の若い視聴者には意外と共感を得たのかもしれないなと思いました。
  • 番組のスタートから伊藤アナと橋本アナから「安心感と安定感」を感じることができ、違和感なく入り込むことができましたし、コメンテーターのお二人も自己主張がそれほど強い方ではなく、俯瞰的に発言されていたことも、「しっかり見てみようかな」とさせてくれました。
  • 企画でこだわったとされる「視聴者に分かりやすく伝え、考えるきっかけ作りにしたい」については、まさにそれが表現された内容だったと思います。
  • 番組の終わりのまとめの言葉となった、「コロナのせいにしてはいけない、報道はもっと他の大切なことを伝えるべき」がとても印象的であり、全くそのとおりだと思いました。三現主義に沿った報道こそ力です。
  • 福くんが今回、「"知る"ということが大事だ」と、16歳の彼なりの言葉としてはとても重い発言だと感じました。素晴らしかったと思います。
  • インバウンドで、九州の人たちはアジアに向け過ぎていたけど、これから欧米のほうにも向けますよと。なるほど、欧米に向けるとはどういうことなのかというのを考えさせられながら、afterコロナの自分たちのいろんなことをとても学べました。
  • 沖縄の基地問題については、またかと思ったんですが、お母さんたちが、自分の子供たちの命が奪われるかもしれないという違う面からの捉え方をされている。コロナでもそうですが、命の大切さみたいな深いところで沖縄を捉えていることにとても感動しました。
  • 各局に時間を割り振る結果、全て中途半端になりがちですが、今回は、熊本の水害を受けてのダム問題、沖縄の基地問題という2つのテーマに大きく時間を割いており、めり張りが利いていました。
  • 三浦さんはロジカルで、切れ味鋭く、コメントに納得感がありました。
  • FNN8局ブロックネットという特番は、テーマの統一性に失敗したり、あるいは各局のローカル性が強調され過ぎて、瑣末な話題を上げてきてしまうとか、実験番組的な域をなかなか出なかったんですけれども、今回は極めて分かりやすい方向性が示されていました。
  • コロナを含めて、ただただ「大変だ」と報じるのではなく、様々な「工夫」や「希望」、「新しい取り組み」が取り上げられていたのが、番組に深みを与えていたと思う。
  • 例年の番組よりは一本筋が通りつつある。視聴者としてはあの1時間半を見るのが苦痛ではなくなってきたという感じがしますので、ぜひ今後もこういう番組を作っていただきたいと思います。
  • 鈴木さんは、メディアの使命というのがあるんだと、三浦さんは、人間社会にはいろんなことが起きているけど2020年はコロナの影響で伝えることができなかった、そういう視点を出してくれたのはいいことだと言っておられましたけれども、これは非常に重要なことだと思います。
  • "知る"ということがとても大事で、湯治場とかの状況は本当に悪いんですよね。そういうことを知るとなるほどと思うけど、みんな知らないから星野リゾートへの憧れで予約をしていくわけです。福くんの言ったことは全体にかかわっている問題なのではないか。自分たちの小さな商売であれ、"知る"ことによって物が動いていくというとても大事なことがある。
  • 沖縄の基地問題が「徹底取材」すべきニュースであったかどうかというのはいろいろと意見があるのではないかと思いますが、個人的にはちょっと疑問符がついた点でもありました。
  • 2020年の大きなニュースとしてアメリカ大統領選挙があったので、大統領の交代とか中国の動き、そういった視点からのアプローチがあってもよかったのではないかと感じました。
  • ホークスの4年連続の日本一については1~2分で終わってしまったので、もう少し時間を割いてもよかったのではないかなと。例年とは全く違うシーズンの中での優勝、そして日本一なので、それこそいろんな苦労があったり、徹底取材できる内容が多々あったのではないかということで、少しもったいない気がしました。
  • もう少し明るいニュースにも時間を割いて、視聴者に「いいこともあった年だったな」と元気を与えることもメディアとしての役割ではないのかと思います。
  • 最後に「経済・医療の犠牲をいかに小さくするか早く答えを見つけてほしい」の発言で終わったのには、正直他人事のように感じ違和感を覚えました。国、政治、行政の批判で終わることなく、問題解決の提案を広く提示する、その賛否の声を拾い上げ、「一緒に見つけていきましょう!」との意気込みは欲しい。
  • テレビとか新聞というのは、「脇見」という言葉が正しいのかどうか分かりませんけど、自分が見ようとしていないものがぱっと目に入ってくるというのがすごく大事な役目かなと常日頃思っています。自分が見たいものをネットで検索して情報を得たりすることが日常になってきた今、たまたま目に入ったものや聞いたものから知識を得たり興味を持ったりするのは非常に大事なことではないかと思います。これからのテレビはそういう役目を果たすことが必要なのかなと改めて思いました。
  • 今後はYouTubeとかTVerの見逃し配信で繰り返し見られるような、それこそネットとか、そういうもので宣伝してでも見てもらうようにする、録画せずとも自分が見たい時間に見られる、そういうことができたらいいなと思いました。
  • 業績がいい企業もあるんですが、今、世の中では経済状況が本当に悪化している、それを"知る"ということがとても大事なんです。
  • 島谷先生は専門家としてなかなか素晴らしい話をされていましたが、テーブルがラウンドになっていたために横を向いた形で座っていて、もう少しこっちに向けてあげるといいのに、ちょっと可哀相だなと思った次第です。
  • 沖縄の基地問題は、鈴木福くんに取材させることで「そもそも基地問題とは」という掘り下げをさせていましたが、正直、福くんで良かったかどうかは疑問です。問題の大きさを考えると、福くんでは荷が重かった印象です。
  • 最後に鬼滅の刃ブームの話が出てきました。少々取ってつけ感があり、このパートは不要だったのではないかと思います。
  • 鈴木さんは、河川管理の主体がばらばら、研究費という指摘など、なるほどというコメントもあったものの、菅総理との距離感を自慢しているようでしたし、兵庫県のテレワークアプリも聞きかじりでの紹介など、少し疑問に思う点もありました。
  • 2年連続での伊藤アナの起用は、安定感はあるものの、九州沖縄のニュースにこだわっているのだから、九州沖縄8局のアナウンサーの中からメインキャスターが登場してほしいと思います。
  • 政治ジャーナリストの鈴木さんが一言、「もう遅いですよ。もう後手後手。とにかく遅過ぎる」と言われましたが、この番組に出てくる政治ジャーナリストの発言姿勢としては大変いけませんね。彼が本当にそう思うんだったら、政治や行政に対して直接進言するべき。この番組には全くふさわしくない、要らないと思いました。場の緊張を解きほぐすのではなくて、だらっとした雰囲気を出してしまうということで、コロナ問題を軽く見ているかのように印象づけてしまう。
  • 沖縄というのは、近世、近代から現代に続く沖縄問題として捉えなければ、ここに現出している基地問題だけを引っ張り出しても若い人たちには伝わらない。相変わらず沖縄が気の毒だとか、可哀相だとか、あるいは政治が無策で無謀で理不尽だというような極めて表層的なもの、あるいは弱者救済の観点だけという構成になっているように思いました。
  • 基地問題の原点とすると、なぜ沖縄なのかということについては、地政学上の問題として、地球規模での安全保障の観点からは、沖縄が自由主義陣営における最大最高の戦略拠点であるという事実は変わらない。基地をどこかほかに持っていけばいいという議論は成立しない話だということをちゃんと伝えなければいけないのではないか。正面から捉えて議論を巻き起こしていくということをやっていかないといけないのではないか。
  • 昨年の「トイレットペーパー騒動」を取り上げていただきたかった。今から振り返れば、実にばかばかしいデマ騒ぎだった。けれど、私たちは往々にしてあのような状況に陥る。恐らくこれからも起こり得るだろう。あの騒ぎを今、客観的に振り返ることで、冷静に行動することの大切さを改めて呼びかける機会になったのではと考える。
  • 12月の土曜日、午後4時からの1時間半という枠は適正だっただろうか。制作側の意図は「テレビの前でじっくり見て、考えてほしい」ということだったと思う。残念ながら多くの視聴者は何かと慌ただしく、腰を落ち着ける時間帯ではなかったのではないだろうか。各社との調整の問題はあったと思うが、放送時間にもっと工夫があってよかったのではと感じた。
  • 星野リゾートですが、あれは全く、大スポンサーが無理やりあの番組に持ち込んだのかと思いました。むしろ、九州各県の温泉地、旅館、湯治場は大変な状況なんですね。それをきちんと総括してほしい。星野リゾートが来るんだから心配しなくていいよと言わんばかりだったので、地元の人は何か違和感を感じたのではないかと思います。
  • テレビ西日本には、コロナ禍とバランスを取りながら庶民の生活についてどれだけ切り込んでいけるかというのを今後とも追求していただければと思っています。
  • 小さいことですけれども、島谷先生をもう少しクローズアップしてほしかったですね。田んぼを宅地化して、当然浸水するところに老健施設を建てているという、ああいう社会的な問題が起きているわけだから、そういうところをもう少し島谷先生に深掘りしてもらって、何かコメントをいただければよかったかなと思いました。

などの意見を頂きました。

局からは

  • 1年を総括する番組ということで、1年を振り返りながらも、やはりコロナに翻弄された1年だったので、まず視聴者の皆さんが少しでも前向きに次の年を迎えられるような番組にしたいというところがございました。
  • 新型コロナによる社会の変化とあわせて、コロナの陰に隠れてしまって、本来ならもっと伝えられるべきであったニュースをしっかり取り上げて、「九州沖縄の今」を視聴者の皆さんにお伝えしようというところが今回の番組全体のコンセプトになっています。
  • 見どころとしましては、大きく2点で、九州が潜在的に抱えている災害の問題。今回は球磨川の治水のところですけれども、こちらについては視覚的に、目で見て理解してもらうというところで、スタジオでの大きなボードを使った解説を展開しました。もう一つの大きなコーナーとしては沖縄の基地問題です。まず視聴者が「これの何が問題なの?」と疑問に思うところを解決する、一緒に学んでいけるような形にしたいなというのがありました。
  • 俳優の鈴木福さんに出演していただいたのには大きく2つの理由がございます。若いお母さんの世代からおじいちゃんまで幅広い世代の方に直接お会いするということで、そういう世代の方に印象がいい方、かつ、素直に話を聞く姿勢で向き合ってくれる方がいいなというのがありました。もう一つは、やはりこれからの日本を背負っていく若い世代に広めてもらいたい、知ってもらいたいというところもありまして、高校生の鈴木福さんにお願いした次第です。
  • コロナ禍の中で取材自体も非常に模索しながら進めましたので、不安も多い中で迎えた番組の放送でしたが、一本筋が通っていたというご意見をいただけたのが非常にありがたかった。
  • より視聴者の皆さんに分かりやすく還元していけるように、今後の取材活動にも生かして番組作りをしていきたいなと思いました。

などの説明をしました。

番組審議会事務局より

  • ご報告、ご説明事項
    BPO(放送倫理・番組向上機構)放送倫理検証委員会が1月18日に公表した委員会決定第39号「フジテレビ『超逆境クイズバトル!!99人の壁』解答権のないエキストラ補充に関する意見」の概要をお配りし、内容を説明しました。
     
  • 視聴者レスポンスについて
    1月に寄せられた視聴者ご意見などの件数および特徴を書面にまとめてご報告しました。

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