◇クライマックスシリーズ（CS）ファーストステージ第2戦　ソフトバンク8-2西武〈9日、ペイペイドーム〉

　オリックスが待つ大阪への切符をつかんだのはソフトバンクだった。無傷の2連勝で西武を圧倒。工藤前監督時代から引き継いだポストシーズン連勝を「18」まで伸ばし、ファイナルステージで、レギュラーシーズンでは同勝率だった王者と日本シリーズ進出を懸けた戦いに臨む。

　ファイナルステージではオリックスに1勝のアドバンテージがある上、舞台は今季3勝10敗と鬼門だった敵地京セラドーム大阪。突破するためには超えなければならない高いハードルがある中、何よりも欲しかった「勢い」をソフトバンクが手にした。

　象徴的だったのが3回の攻撃だ。先頭の柳町が四球、甲斐が初球で犠打を決め1死二塁。１番三森も四球で出ると、第1戦では8番に入っていた2番周東に打席が回った。

　周東はレギュラーシーズンラスト3試合で13打席無安打。藤本監督はCSの1、2番は三森と周東の機動力コンビが理想としながらも、第1戦は様子見で8番に置いていた。その第1戦で周東は2安打1打点。シーズン終了からCS開幕までの期間の修正が奏功したであろうことを見て取った上で、第2戦は2番に起用した。

　1死一、二塁で周東は初球を見送った後、ファウル、ファウル。西武先発の今井に追い込まれた後の4球目、外角高めの152キロは二遊間へのゴロとなった。二塁手の外崎はカバーに入った遊撃の源田にグラブトス、さらに源田は一塁へ送球したが周東が先にベースを駆け抜け併殺を阻止した。

　周東の足がなければこの時点で終わっていたかもしれない攻撃。3番牧原大が死球で満塁となり、この日で34歳の4番柳田が打席に入った。初球が大ファウルとなりスタンドにため息が充満した直後、低めのスライダーに当てただけのような打球はしっかり伸びて右翼テラス席へ。柳田にとってポストシーズン11本目のアーチは先制のグランドスラムとなった。

　周東は復調を印象づけるように2戦連続複数安打、主砲柳田はレギュラーシーズン最後の２試合を含め”4戦連発”。さらに5回に1点を加えたことで投手起用にも余裕が生まれ、先発の東浜は86球で交代した。6回から早々と継投に入り大関、松本、そしてマジック「1」の10月1日西武戦で山川にサヨナラ弾を浴びたセットアッパー藤井ら中継ぎ陣が、ファイナルステージも見据えて次々とマウンドに上がった。

　ファイナルステージの初戦は12日。オリックスは2年連続投手4冠の山本、2年連続2桁勝利の宮城が1、2戦目に先発することが予想される。ソフトバンクはデスパイネに快音が出ていないことが気懸りながら主力打者の多くが手応えを携えて敵地に乗り込むことになった。

　選手会長の今宮は「シーズンではめちゃくちゃ悔しい思いをしたけど、選手全員切り替えて、悔しさをぶつけるということをテーマにこのクライマックスシリーズに臨んでいる。もう一度、オリックスとやる挑戦権を得たい」と話していた。全員でつかみとった挑戦権を生かしきった先に2年ぶりの日本一につながる道が待っている。