【ソフトバンク本多雄一コーチに聞く・３】
　
　ソフトバンクの本多雄一内野守備走塁コーチ（37）が指導者として3年目のシーズンを終えた。現役引退してすぐに1軍コーチへ転身し、昨年まではいずれも日本一。初めてＢクラスの4位に終わり世代交代が課題としてのしかかるチームにあって、どんな思いで日々選手と向き合っているのか。宮崎秋季キャンプ中の19日、37歳の誕生日を迎えた本多コーチをTNC「ももスポ」MCの吉川貴司が直撃した。（取材・構成＝長崎翔太／後日オンエア予定）

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（２からつづく）

ー今年は本多コーチが現役時代に共に戦った選手が続々と引退して指導者になったり、コーチ陣も大幅に若返った印象です
　若返ったとはいえ僕がコーチ陣の中では一番年下ですし…あっ、城所（龍磨3軍打撃兼外野守備走塁コーチ）がいますね。（3軍投手コーチに就任した）中田賢一さんも帰ってきて、高谷（裕亮2軍バッテリーコーチ）さんも入ってきて、顔見知りが増えたのは僕も安心します。そこは1軍、2軍、3軍関係なく、指導者として切磋琢磨しながらやっていきたいと話しています。

ー新しくコーチになった方からアドバイスを求められりしたたことはないですか
　特にはないですけど…ひとつ気がかりなのは、城所龍磨がコーチになって、１本の電話もないってことですね。先輩の特権使っちゃいました（笑）。僕は賢一さんに電話したけどなぁ。これを聞いて電話があるかもしれないですね（笑）

ー新任の藤本監督の下、これからどんなホークスをつくっていきたいですか
　野手出身ということで、バッティングも教えていきながらやりたいことを明確に言ってくれる監督です。自分たちもサポートして、自分たちからこんなことがあります、こういうことはどうですかと提案するのも大事だと思うし、監督が求めるのはどういうことなのか、自分たちで察知しながらやっていくことが大事だと思う。トレーニングも監督に相談しながら、昔の戦いと今の戦いは全く違いますから。そういった意味では話をしながらやっていきたい。

ー本多コーチにとって、この秋季キャンプはいいものになっていますか
　そうですね。若手も元気がありますし、いまA組とB組合同でやっているんですけど、主力がこのキャンプに来ていないところで個人的には若手は主力を追い越す気持ちでいないといけないと思います。それがチームの活性化にもつながる。そこを求めて、自分も選手をサポートしていきたいですね。

ー特守で野村選手が涙を流していたりして、選手たちには「鬼コーチ」って言われてましけど（笑）
　そういうイメージなんですかね（笑）。でもね、勝つためにはそういうのはあるものだと思う。僕が現役のときは森脇（浩司＝現ロッテ野手総合兼内野守備走塁コーチ）さんや鳥越（裕介＝現ロッテ2軍監督）さんがいましたけど、すごい、そういったコーチの方々に育ててもらったので。指導するにあたって、野球で成功するためにはとか、1つのアウトを取るためにとか。緊張する場面でいかないといけないときに、われわれは逃げられない世界にいる。どうしても「逃げる」精神力だと、いつまでたっても逃げてしまうし、結果も出ない。こうしろ、ああしろじゃなくて、この世界はこういう緊迫感があるよとか、こういう場面に出くわすよとか、だからこういうふうに備えないといけないということを伝えないといけない。若手は知らないんですよ、経験したことがないから。そういった意味では、やることははっきり言います。だって、そういうことに必ず出くわすから。だからいかに準備をするのかが大事で、ミスをミスで終わらせないことが大事。成功につなげるにはどうすればいいのか。それはチームとして動かないといけないので、１人がよくても駄目。キャンプの練習でも、1球に皆が声を出す。ミスが起こらないためにどうするか、なんです。だから厳しさも大事。楽しいときも大事、遊び心も大事ですけど、仲良しこよしでは駄目。気を抜いたり、楽をする、人間にはそういう部分が絶対にあるから、そっちの方向に行かないようにってのは、常に気を付けてはいます。

ー若い選手が「本多コーチのおかげでここまで来れました」っていう日が来るでしょうね
　おかげ、じゃなくていいんですよ。普段は本多コーチを見たら目をそらしてしまうようになってもいい。ただ野球に関しては、グラウンドにいるときは、もう一つの性格をもってこいって思います。プライベートな自分ともう一人、野球選手のもう一人、180度違う性格の違う自分を出すことも大事。恥じらいを消すことも大事。そういった気持ちがないと、人と一緒のことをやっていても駄目なんです。ただきつく言うのではなく、説明しながら、何のために必要なのか。それを一つ一つ説明するのがコーチとしても大事でしょうね。

（おわり）