九州大から初のプロ野球選手誕生 独立リーグ、元ソフトバンク馬原氏率いる球団に文武両道左腕

2021年11月06日

 プロ野球独立リーグ、九州アジアリーグの火の国サラマンダーズは7日、10月末に実施したトライアウトの合格者を発表し、九州大・芦谷汰貴投手(23)らが選ばれた。日本野球機構(NPB)の12球団を含め九州大からのプロ入りは初めて。NPBドラフト会議での指名はかなわなかったが、野球を職業にする夢を諦めることなく約100人が受験したトライアウトの難関を突破した。

 広島県屈指の進学校、修道高ではエース。1年浪人して九州大に合格し、工学部エネルギー科学科で原子力に関する研究に取り組んできた。仲間が就職や大学院へに進む中で、入学当初からプロ入り一本に絞ってきた芦谷はプロ志望届を提出。変化の鋭いスライダーが武器のサウスポーとして注目されたが、10月11日のドラフト会議で名前が呼ばれることはなかった。それでも「もう1年、NPBに本気で挑戦したい」と就職活動を見送り練習に没頭。そんな中で声をかけてきたのが、火の国だった。

 球団からの電話でトライアウト受験を勧められ、即決。もともと「ドラフトに漏れたらサラマンダーズ受験しようと考えていた」と明かすなど迷いはなかった。球団設立2年目へ向けて監督兼ゼネラルマネジャー(GM)補佐に就任した馬原孝浩氏はNPBのソフトバンク、オリックスで通算182セーブを挙げた歴代屈指の名ストッパー。芦谷にとっては憧れの存在でもあり、願ってもないチャンスだった。

 ドラフト会議からトライアウトまでの3週間は九州大のグラウンドで後輩たちとともに汗を流し、激励の声ももらった。そして迎えたトライアウト当日。「馬原さんの前で楽しんで野球をしたい」との決意でマウンドに上がり、打者5人から3つの三振を奪い無安打に抑える快投を披露した。「スライダーで三振をとれたのは良かった」と振り返る納得の内容で、合格を勝ち取った。

 馬原監督も「近くで聞く音」から感じたスライダーの精度を絶賛。「バッターの反応を見れば一目瞭然」と実戦向きと評価した。

 野球一家で育ち、父栄司さんは元甲子園球児。Youtubeで自身の練習している姿などを投稿しアピールを続け、プロの肩書を得た。もっとも、これがゴールではない。「ずっと、いろんな人から『なんで九大からプロ?』と言われる中、野球も勉強も諦めずに一生懸命やっていく姿勢を見せたい、プロになりたいとの思いでやってきた」。競技としての野球に区切りをつけた仲間からは「芦谷らしい」とのエールももらった。「しっかり結果を出して子供たちに夢を与えられる選手になりたい。来年のドラフト会議で名前が呼ばれるように努力していく」。幼いころから野球に懸けてきた文武両道左腕の挑戦は続く。

 (取材=城大瑛)

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